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行ってきます!

以前もお知らせしましたが、7月31日から8月7日まで
Dari K店舗及びお取り寄せはお休みとなります。

この期間、今晩から8月7日まで、Dari Kでは
カカオ豆の産地である「K」の島、インドネシアのスラウェシ島の
カカオ農園をスタッフ全員で訪れます。

ついにこの日が来ました。
1年半前は、一人でバックパックひとつで行ったスラウェシ。
今度は7人で、7つのバックパックに夢と希望を
ぎゅうぎゅうに詰めて行ってきます。


フェアトレード。
この言葉は曖昧で、生産者に還元さえすれば
フェアだと思われる節も多々あります。

でも、問題の解決はそんなに単純には行きません。

今、巷で認識されているフェアトレードは、作物の買い取り価格に
10%や20%上乗せしましょう、というようなもの。

でもこの買い取り価格自体が、市場価格に連動しているのが事実。
そしてこの市場価格の決定要素は、単に需給バランスだけではなく
マネーフロー、つまり値上がりによるリターンを狙う
投機マネーも含まれるのです。

このような資本市場の仕組み、金融の現状を知らずして
フェアトレードを語るのはとても危険なことだと思います。

なぜなら、善意でやっていると思っていても、実際は
資本市場の悪い部分に加担していたり、自分が良いと
思っているほんの数%しか、実際には良いことに使われていなかったり。

さらに、あまりにフェアトレードによる所得再分配のような
ことが進展しすぎると、今度は現地の人の雇用をその産業に
固定化し、産業構造自体が進化しないことにもなりかねません。

どういうことかというと、例えばカカオ農家に今の1.5倍の価格で
カカオの買取を約束すると、みんなもうカカオの生産だけを
行うようになる。たとえ今は米(自給用)とカカオ(換金作物)を
栽培していたとしても、カカオだけを育てた方が効率が良い
(つまりカカオで得た現金収入で米を買えばよい)と、みんな
カカオ栽培に集中してしまう。

でもカカオの国際価格(市場価格)が暴落したときに、
買い取り価格が1.5倍だとしてもそれでは食べて
いけないかもしれない。

米不足で米が高騰し、今の2倍の価格になったときに、
1.5倍のカカオでは食べていけないかもしれない。

良くも悪くもカカオは換金作物。
自分達で食べない。食べ方、加工の仕方を知らない。
自分達が作った豆が、いつどこの国に行くかも知らず、
それがどんなチョコになっているのかも知らない。

本来ならカカオだけ育てても仕方ない、と
産業化が進むこともあるかもしれないのに、
変に(1.5倍に)釣りあがった価格に魅了され、
ずっとカカオ栽培(農業)に固定され、産業化が
遅れてしまうかもしれない。

経済は常に動くもの。そこには人がいる。
その人ひとりひとりには人生がある。

それなのに、先進国の人が、「途上国の農家は貧しいのは
かわいそう。搾取されているんでしょ。」と言って
「それではフェアトレードやりましょう。
価格2割上げます。苗木渡すからね、みんなで頑張って
もっとカカオ沢山作りましょう」なんていうのは
どうなんでしょう。

そりゃ現地の人は歓迎するはずです。
今と同じことしてても2割の所得アップになるし、
苗木をもらって、コスト抑えられるし。

でもそれがベストな解決策なのでしょうか?
彼らの作る農作物が(市場経済に任せておいたら)
不当に安くなりかねないから、(フェアトレードと呼ばれる
介入を通して)その所得補填をすることにより、
本当にみんなHappyになれるのでしょうか?

私には分かりません。

少なくとも私が現地に行ったとき、農家の人は幸せそうでした。
幸せか、と聞いたら、幸せだ、すごくHappyだと言っていました。

もっとお金が欲しいか、と聞いたら、今食べていけるから
それでいい、と言っていました。

僕が、今の現地の市場価格より高く買い取る、と言った時、
本当か、と聞かれましたが、本当だ、と言っても
そこまで嬉しそうな表情はしませんでした。

でも、これまで発酵をしてこなかった農家と一緒に発酵をして
発酵してない豆と発酵したカカオ豆の香りを比べた時、
そう、発酵した豆が甘いチョコレートのような香りがした時、
彼らは驚いて、ものすごく嬉しそうな顔をしました。

今度この発酵した豆を日本に持って帰り、チョコを作るよ、
というと、どんな風になるのか、どんな味なのか、興味深々の
様子でした。

あれから1年半が過ぎ、まさか自分でもこんなに早く
このときが来るとは思ってもみなかったけど、ついに
このときがやってきました。

僕一人では出来ないけど、今回はショコラティエも行くから、
出来ること。それは現地のカカオを使って、一緒に
チョコレートを作るんです。

現地でチョコが作られないのは、一つにはチョコ(カカオバター)の
融点が30度で、現地の気温はそれより高いから、作っている
そばから溶けてしまうという物理的な問題があるのは確か。

でも板チョコやトリュフにしなくても、そのカカオ豆を使って
チョコのブラウニーやパンケーキはできるはず!

自分の作った作物(カカオ)が、美味しいお菓子になる、
それも現地の材料のみで作れると知ったら、
みんな自分の家でカカオを消費することに
なっても全然おかしくないはずです。

すると、カカオの買い取り価格が不当に安いと感じたら
彼らは、これまでだったら仕方なく買い取り業者に
買い取ってもらっていたけれど、これからは
「そんなに安いのだったら、自分で使います」と
自家消費に回すかもしれない。

きちんと発酵すると美味しいチョコケーキになる
と知ったら、みんなどうやれば上手く発酵できるか、
自分達で考えて工夫するかもしれない。

これまでチョコを食べなかったカカオ農家の人に
美味しいカカオ豆を作ってくれなんて言う方が
おかしいでしょ。

自分で自分の作るものの価値が分からなかったら、
そりゃ搾取されるでしょ。

逆に自分で自分の作るものの価値を分かったら、
もっともっとその価値を上げるように頑張るでしょ。

それこそが、変動の大きい市場価格の影響を
農家が自分で守る正統な防衛策であり、現在の
資本主義の歪みを是正する持続可能な解決策ではないでしょうか?

Farmers in developing countries are in weak
positions in many ways. They are vulnerable
to the volatile market prices, which they can't
have a controle of.

Giving the farmers "20% premium" to the market prices
under the so-called "fair trade" concept may benefit
them to a certain extent, but is that enough?
is that enough to make them happy?
is that enough to make them free from the volatile
market prices determined not only by the supply-demand
balance but also by speculative money?

No, I do not think so.
I believe the only way, which is sustainable and
reasonable in nature is, that the farmers themselves
know the value of their products. Only then,
they can gain a fair, yes, FAIR negotiation power
as they know more about the products than any buyers.
This would be the key to overcome the current
problem happening in this distorted market economy.

Dari K will do our best.
We have power, we have mind. We can do it.

行ってきます!




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教育現場へ

最近、学校の先生からカカオ豆のご注文を頂くことが
多くなりました。もちろん、お取り寄せでは職業を
書く欄などはないので、どうして学校の先生なのか
分かったかと言うと、チョコレートではなく
ローストカカオ豆を1~2袋のみをご注文下さるからです。

この場合、商品の代金より送料の方が高くなってしまい
それでもお間違いがないか電話で確認すると
「実は教師をしていて、授業で生徒にチョコレートが
何で出来ているか、それを紹介するために使いたい」と
学校の先生であることが判明するわけです。

こういった先生の取り組みには敬意を表すると共に、
私自身全面的に協力したいので、普段販売はしていない
生のカカオ豆を無償でお分けしたり、Dari Kのカカオ豆の
産地インドネシアでの取り組みや今後の計画、
フェアトレードやその問題点などの資料を
お送りしております。

今、Dari Kでは農家の発酵したカカオ豆を輸入していますが
近い将来は、現地で加工して付加価値をつけてから
輸入することも考えております。

こうすることで、現地農家の所得が向上したり、新たに
雇用を創出することができるだけでなく、何より現地で
チョコレートの製造までできれば、彼らのカカオに対する
愛着やモチベーションもあがると思うからです。

そもそもチョコレートを食べたことのない農家の人に、
チョコの原料となるカカオを美味しく作ってといったところで
それは難しいし、ちょっとの工夫でWin-winになれるのなら
それをやらない手はありません。

もちろん、「言うは易し、行うは難し」で、これは簡単なことでは
ありません。例えば、原料のカカオ豆を日本に輸入した場合、
関税はかかりませんが、加工して輸入すると関税がかかります。

具体的にいうと、カカオ豆での輸入なら0%の関税率も
カカオマス(カカオ100%のペースト・固形物)にすると5~10%、
チョコレートにすると20%以上と加工度が上がるにつれ
関税率も高くなるのです。(これを傾斜関税と言います)

この傾斜関税の原因は、例えばカカオ豆は日本では
栽培・収穫できないので税率は低く、チョコレートには
砂糖が入っており、日本は砂糖がとれるので、
海外でチョコレートまで完成品として作ってしまうと
日本の砂糖が使われない、よって日本で収穫・生産できる
ものには税率を高くしましょう、そんな意図があるのです。
要は自国産業の保護ですね。(ちなみに米には、実質的に
関税率は700%以上となります。)

こうした傾斜関税の存在により、「あー、だったら
豆(原料)のまま輸入して、日本国内で加工したほうが
いいや」となってしまう、そして輸出国(多くは途上国)では
付加価値をつける術もないまま、相変わらず原料の
輸出のみをする、これが現実です。

もちろん、輸出国政府も黙ってはいられません。
なるべく自国で付加価値をつけてから輸出しようと
「輸出税」をかけたりましす。Dari Kのカカオ豆の調達先である
インドネシア政府は2010年4月からカカオ豆の輸出に対し
0~15%の輸出税をかける政策を採っています。
0~15%と幅があるのは、その時のカカオの国際市況(相場)
によって税率が変わるということなんですが、これによって
何が起こっているか?

この輸出税が出来たからって、じゃあ加工して売った方が
税金がかからなくていいから加工しよう、とは農家のレベルでは
ならないわけです。だって設備も知識もないのですから。

そうすると、輸出業者は国際市場で価格の低さの優位性を
武器にインドネシアのカカオを売っていたのに、
この輸出税により価格の競争優位性を奪われることになります。

たとえばこれまで輸出業者は農家から70円で買い取り、100円で
海外へ売っていたとします。今輸出税10%がかかるので、海外への
売値は110円に。それだと競争力がないから、100円に据え置きたい
輸出業者。彼らは、100円で売るために、税金の10円の負担を
農家に転嫁すればよいのです。つまり農家から60円で買い取り、
輸出税10%込みで100円で売れば、輸出業者にとってはマージン
(利益)は30円のままで変わらず、輸出税もきちんと払ってるし
競争力も傷ついてない。そのしわ寄せを被るのは農家なわけです。

こうして考えると、輸入側(多くは先進国)の傾斜関税であったり、
輸出側(多くは途上国)の輸出税は、それぞれ「自国産業の保護」
であったり「自国内の付加価値創出奨励」という目的は
理にかなっているものの、それが公平で公正な貿易、ひいては
世の中を作っているかというと、そうではないような気がして
なりません。

しかし、それを嘆いていても仕方がないのも事実。
どこまで変えられるか分かりませんが、この課題に挑戦していくために
Dari Kを設立したので、これから色々頭を使いながら
この難問にチャレンジしていこうと思います。





自然災害リスクと社会政策

今日はちょっと真面目モードで書きます。

突然ですが、今回の東北大地震と原発関連の
ニュースを毎日のように見聞きしていると、
直接・間接問わず被害にあった農家の方への
補償はどうなって、それを受けて彼らは今後
どうするのか、ということが個人的にとっても
気になります。

政府や地方自治体の補償があるとはいえ、
またいつくるか分からない自然災害の怖さを
感じた直後に、今後の仕事としてどういう
選択をするのでしょうか。また農業を続けるのか、
これを機にやめて別の仕事をするのでしょうか。
カカオ栽培農家の方々とお付き合いがあるから
一層、他人事とは思えないのです。

今回のような地震はもちろん、天候不順や
台風でさえ、農作物には多大な影響を
与えます。1年かけて大事に育ててきた農作物が
台風によって、地震によって収穫できない
状況になってしまったら。。。

実際に農業を営んでいない私には理解できない部分も
多いでしょうが、例えば学生ならば、何ヶ月も
ほぼ毎日徹夜して完成間近の論文を
保存してあったファイルもバックアップ用の
ファイルも急にPCが動かなくなって使えなく
なってしまったと想像してみてください。

サラリーマンなら、何ヶ月もかけて準備してきた
案件が、最後の最後で急にダメになったり。

周りの人からみたら、「運が悪かった、
しょうがない、また頑張るしかない」というような
ことも、当の本人にはそれでは済まされない気持ちで
いっぱいだと思います。


私はイギリスに留学しているときに各国の社会政策を
勉強していました。社会政策とは、貧困から
ワークライフバランスから、年金から、人口問題から
民族的マイノリティまで社会の問題に対して、
どう政府はアプローチをしているのかということです。

それをまがりなりにも(というかかなりみっちり)
学んだ自分としては、災害がもたらす影響とそれへの
対応策というのも、これから社会政策の文脈の中で
きちんと議論していく必要があると思います。

カカオは天候の影響を受けるのはもちろんですが、
カカオにとっての大きなリスクは害虫(CPB
:Cacao Pod Borerと呼ばれます)です。

この害虫が大発生すると、カカオの木も実も全て
やられてしまい、当然収穫できなくなってしまいます。
これを避けるために、化学薬品を撒く農家も多いのが
現状で、初めてスラウェシ島の農家を訪れた時に私は
「無農薬で栽培したら付加価値がつくのに」
と常々思っていましたが、もし無農薬で栽培して
害虫によりカカオの木がやられてしまったら
その年だけでなく、木を植え替えてその新しい木に
実がなるまで数年間、カカオ農家の所得は
なくなりかねません。

そんな時に、欧米や日本など、チョコレートの消費国は
インドネシアはCPBの発生でカカオが取れなくなって
しまったからアフリカや中南米のカカオを使おう、
と調達先を容易に変えることができますが
インドネシアの農家にとってはそれこそ死活問題です。

政府が補償してくれるでしょうか?
誰かが面倒を見てくれるでしょうか?
稲作をやめてカカオを栽培することにした農家は
所得がない上、自分達が食べていく米もありません。

そう考えると、彼らに「無農薬でカカオを作るべきだ」
とは言えなかったことを思い出しました。
そして、無農薬の方が良いと分かっていても、
「隣の農家が農薬を使ってうちが農薬を使わなかったら
害虫は必ずうちのカカオにやってくる」と言っていた
農家の方の言葉も思い出しました。

天候リスクや自然災害リスクは生産者がとるべきだ、
とればいい、という態度を最終消費者が取る限り、
生産者は余計に追い詰められていきます。

ある生産地が災害の影響で生産量が激減した場合、
消費者は、需要に対して供給が少なくなっているから
その分価格が上がり、価格上昇という形で自分達も
災害リスクをシェアしてる、と主張するかもしれません。

しかしカカオの例だと、世界第3位のカカオ産出国である
インドネシアでCPBが流行ってカカオの産出量が
激減したら、確かにカカオの国際相場は
高騰するでしょう。でもその高騰で潤うのは、
インドネシアではないカカオ産出国の人であり、
ガーナやコートジボワールが通常の2割~3割増しで
潤っても、その価格高騰分がインドネシアに
循環するわけではないのです。

そうすると、自然災害リスクを織り込んだ
価格設定が本来必要になるべきところですが、
第一次産業に従事する方々の価格交渉力は
低いことが通例で、多くの場合は買い手市場
つまり需要者が価格決定権を握っています。

こういったマーケットの現状に対して
政策という形で国がセーフティネットを
提供することができれば、それはとてもいいこと
ですが、その仕組みづくりは当然一筋縄では
いかないでしょう。

日本は多くの自然災害に見舞われています。
これらの困難に対して、どうやって政府は
補償なりセーフティネットを提供する枠組みを
作るのか、あるいは作ったのか、そういう
経験こそが、他の国の災害時の農家補償の
ロールモデルとはいかないまでも、政策上の教訓、
つまりはpolicy learningになるのでは、と
ふと思ったのでした。

JICAなど日本の援助機関は、技術支援や現地の人々の
エンパワーメントなどで確かな実績と評価を
あげていると思います。その反面、政策面での支援、
とくに社会政策の分野のセーフティネット作りは、
世界銀行(WB)やアジア開発銀行(ADB)任せが
多いというのが私の印象です。

今後の日本の国際協力の一つの重点分野として、
社会政策の分野に力をいれていって欲しいと
個人的には思います。そしてそのためにはまず、
自国がしっかりとした政策を打ち出していなければ
ならないわけで、日本は今こそ踏ん張り時に
違いありません。今自分にできることを
しっかりやっていこう、そう思いました。







Dari Kのビジョン

ここ数日、私の目から見た「フェアトレードの現状」というか
「フェアトレードって概念だけ先行して理解され、実態は
きちんと理解されずに、美化されすぎてない?」というある種の
問題提起をしてきました。

一番はじめのエントリー「はじめまして」でも書いたとおり、
私は学問的なバックグラウンドが「お金では計れない
公平・平等」について考える東南アジア地域研究や
社会政策であり、職業的なキャリアは「お金という尺度で
過去も未来も現在価値になおして効率性の分析」をする
投資銀行やヘッジファンドでのアナリストでしたので、
フェアトレードというものに対しても、その両面から
アプローチしているつもりです。

もちろん、フェアトレードの問題はこれだけではありません。
私が盲点だと思っているのは、フェアトレードが進み、仮に
コーヒーやカカオなどの農家の所得があがるようになると、
これまで米など自給的な意義をもって伝統的に稲作などを
してきた農家が、お金のために商品作物であるコーヒーや
カカオなどの換金作物にシフトしてしまい、結局市場経済の
影響をより受けるようになってしまうリスクがあります。

また、本来ならば近代化・現代化の過程では、農業などの
第一次産業から、機械化・工業化の進展に伴い
第二次・第三次産業へシフトしていきます。
しかしフェアトレードで人為的に所得が上がった第一次産業では、
第二次・第三次産業へのシフトが遅れる可能性があり、
(シフトするインセンティブが減少することによる)、
よって長期的な観点から見ると産業を固定し、その結果
発展のスピードが遅れるという事態も想定できない
わけではありません。

ここまで色々考えてしまうと、何もできなくなってしまいますが
Dari Kのビジョンはすばり「フェアトレード以上、ローカル未満」
なんです。「友達以上、恋人未満」のような感じですね(笑

フェアトレードよりも現場のことをもっと理解し、
最適な仕組みを考え出すけれども、ローカルつまり現地の
方々の考えや文化、慣習をお金のためだけに変えさせるような
ことはしない、というイメージです。

結局、Dari Kは単なるチョコレート屋さんでもなければ、
原材料カカオの生産者でもない。でもこの両者をつなぐ、
経営学的に言えばサプライチェーンの上流と下流を結び、
そのそれぞれのステップで付加価値が最大になるよう
頑張るプロデューサーのような存在を目指しています。

宮崎のマンゴーは、「太陽のタマゴ」と名づけられて
1個3,000円とか5,000円とか、はたまた10,000円とかいう
高額な値がついています。確かに国産(安心)で糖度も高い
(美味しい)のは分かりますが、この金額を正当化させるというか
この金額でも買い手がつくというのは、まさに「宮崎」という
地域ブランド化を成功させたからだと思います。

スラウェシ島のカカオは、世界のカカオのマーケットから見ると
生産量は世界有数でも、質の面では決して良い印象を持たれて
いませんでした。それもそのはず、カカオそのものは素晴らしい
ものなのに、発酵をしていないから当然です。
(この点に関してはDari Kホームページ「発酵について」をご覧下さい)

発酵すれば、チョコレート作りに適したアロマが醸し出され
その可能性は計り知れないのに、カカオの収穫後に早く
換金したいという農家の意向と、カカオに内在する油脂分だけ
搾り取って売ってしまえばいいという輸出業者の意向が一致し
これまでカカオ豆が発酵させられることは殆どありませんでした。

Dari Kの取り組みはフェアトレードとは違います。
カカオ農家の方に、市場価格より20%プレミアム(上乗せ)して
買い取ります、なんてことは言いませんし、やりません。
それをやってしまったら、彼らは甘えてしまうでしょう。

それに私は全ての村の全カカオ農家からカカオ豆を
買い取るなんて資力はないので、一つの村だけで
やってもミクロ的に所得格差を招いてしまうとは
これまでのエントリーで説明したとおりです。

ではDari Kはどうするか?
カカオ農家の方々には発酵の仕方を教えました。
私だって、農学部卒業でもなければ、熱帯作物の知識も
植物学的なカカオの育て方だって知らないド素人でした。

でもそのド素人が、欧米のカカオの木に関して書かれた
学術論文を読み、JICAやアメリカ版JICAのUSAIDの
これまでのプロジェクトの資料を読み、
スラウェシ最大の大学であるハサヌディン大学の
農業学科卒業生とインドネシア語の辞書を片手に
何十時間も話し合い、カカオ産地の村に泊り込みで
「ウルルン滞在」しながら教えたのです。

農家の方もびっくりしてました。
変な日本人がやってきたことにびっくりし、ホテルではなく
ホームステイしていることにびっくりし(まあホテルと呼べる
ところはないんですが)、その上いきなりカカオ豆を
一緒に発酵させましょうと言ったことにびっくりしてました。

でも、彼らも私も一番びっくりしたのは、いざ発酵してみると
これまで乾燥しかさせてなかったカカオ豆の鼻を突く酸っぱい
匂いがなくなり、チョコレートを連想させるほのかに甘い香りに
なった瞬間でした。

ただ単に市場価格に上乗せしてカカオを買い取る
フェアトレードとは違い、農家の方にも頑張って発酵してもらう。
美味しいカカオ豆を作ってくれたら、それなりの
金額で買い取りましょう、こっちの方がよっぽど
フェアだし、生産者にとっても調達するDari Kにとっても
そして消費者にとってもWin-Winな関係だと思います。

Dari Kのプロジェクトはまだまだ始まったばかり。
これからも「フェアトレード以上ローカル未満」を掲げ
精進していきたいと思います。

尚、次回は「Dari Kのチョコレートが他のチョコレートと味が
全然違う理由」について書いてみたいと思います。
あなたの知らないチョコレートの秘密、Dari Kの美味しさの
秘密を公開しちゃいます!





本当にフェア?

本日はフェアトレードの幻想Part 2について書きたいと思います。

皆さんはフェアトレードのものを何か購入した経験が
ありますでしょうか?チョコレートでも、コーヒーでも
何でもいいのですが、フェアトレード製品を買うかどうかで
迷ったとき、買うにしろ買わないにしろ、一番ネックに
なるのは何でしょうか?

ズバリ、お値段ではないですか?
フェアトレードが望ましいのは分かるけど、
フェアトレード製品とそうでない製品の価格差が大きいと
「うーん、どうしよう」ってなっちゃいますよね。

例えばスーパーで売っている100円の板チョコと300円の
フェアトレードの板チョコ。同じ板チョコなのに、
フェアトレードというだけで値段が3倍に!

そりゃフェアトレードのチョコレートの味が
そうでないものの味より比べ物にならないくらい
美味しかったら話は別ですが、そこまで味の差がないときに
やはり3倍の値段を払うのって、「う~ん、どうしよっかな~」
となってしまっても当然だと思うんです。

私自身、悩みます。その差が例えば30円とか50円とかなら
「フェアトレードだし、こっちにしよう!」となるのですが
それがフェアトレードでない製品の倍以上の価格になると
ちょっと悩みますよね。

さて、今回はフェアトレードをこの価格の面から考えてみようと
思います。先の例でいくと、普通の(フェアトレードではない)
板チョコが100円で、フェアトレードの板チョコが300円でした。

消費者がフェアトレードの商品に払う上乗せ(フェアトレード・
プレミアム)はその差額の200円(300円-100円)となります。
話を分かりやすくするために、具体的な数字を使って
考えていきますね。

カカオの市場価格(取引価格)が仮に1キロ400円とします。
1枚の板チョコ100グラムにカカオが50グラム使用されて
いるとしたら、この板チョコのカカオの原価は50グラムなので
(400円/1000g)×50g=20円となります。

フェアトレードでは、市場価格に20%上乗せした価格で
カカオ農家からカカオ豆を買い取っているとすると、
通常であれば板チョコ1枚分20円で買い取っていたものを
20%の上乗せがあるので24円(上乗せは20円×20%=4円)となります。

ここで、ですよ。
消費者は、フェアトレードのチョコレートを買う場合、
そうでないチョコレートに比べて200円多く払わなければ
ならなかったですよね。

それでも、実際にフェアトレードが農家の所得に直接
及ぼす影響って上乗せ分の4円です。
あれ、200円-4円=196円はどこにいっちゃったの?
これが私がフェアトレードに対して腑に落ちないというか
すっきりしない点なんです。

もちろん、フェアトレードは農家への販売価格(市場価格)の
上乗せという直接的なものだけでなく、農家のコミュニティを
良くするために学校建設や医療施設を作るための資金源と
なったり、低農薬化・無農薬化の指導・援助にかかわるコスト
負担だったりと色々あるとは思います。

それに、一般のものと比べて流通量が極端に少ないため、
大量生産・大量流通ができずに、規模の経済が働かないため
コストが通常よりもかかるのもわかります。

それにしても、です。消費者は200円分のフェアトレード・
プレミアムを負担するのに、農家への直接的な所得還元が
4円ということになると2%だけなんですよね。

よくよく調べてみると、残り196円はどこに行くかといえば
フェアトレードだという認証を与える認証機関(これに
認証してもらえることで、そのマークを使える)の
認証料だったり、かわいいパッケージをデザインしてもらうための
デザイナーへの費用だったり。

う~ん、難しいところです。確かにしっかりした認証機関が
フェアトレードの認証をしているから、消費者はそれを信頼して
フェアトレード商品を買えるわけだし、いくらフェアトレード
と謳っていても、パッケージが可愛くなくては、高いお金を
出して買う気になるかと言われると・・・となってきます。

それにカカオ農家の方への所得向上効果がたとえキロ当たり
4円だとしても、それはそれまでの市場価格の2割増しなので
インパクトが大きいか小さいか、と言われれば絶対大きいはずです。
もしこれを、消費者が払うフェアトレード・プレミアムが
200円なんだから、農家の人にはその半分の100円くらい
多く払うべきだ、となると、市場価格が50グラムで20円なのに
上乗せが100円だと上乗せ分だけで、市場価格の5倍という
とんでもないことになってしまいます。

こうして考えるといかがでしょうか?
私なりの感想は、フェアトレードってあまりフェアじゃない
というものです。生産者の方にはフェアかもしれない、でも
フェアトレードだからといって高いお金を出して
商品を選択している人に対して、その上乗せ分の
使途が不透明すぎてフェアじゃないように思うんです。

例えば、Table for Twoというプログラムがありますよね。
対象となる定食や食品を購入すると1食につき20円が
寄付され、途上国の子供達の給食代1食分になるというもの。
420円の定食ならば、この中に20円の寄付金が入っているので
本来400円のものが5%上乗せされていると考えることができます。

途上国の貧困・飢餓と先進国の肥満という対照的な現状を
バランスさせるためのとても良い仕組みだと思いますが
私がこの考えを良いと思うのは、上乗せが20円、または
定食代の5%程度と消費者の負担が少ないのに、その効果が
しっかり届く仕組みだという効率性です。

それに比べると、フェアトレードのチョコレートは
100円の普通のチョコに比べ300円と、上乗せが200円または
300%と消費者の負担が大きい割りに、その効果が不透明。

フェアトレードは前回書いた「ミクロで見たときに
所得格差を生む副作用」と、今回の「消費者が払う
プレミアムに対して生産者への還元が不透明」という2点が
あるため、私はフェアトレードを諸手を挙げて
全面的に大賛成、という立場にはなれないのです。

もちろん、他にも腑に落ちない点や素晴らしい面は
枚挙にいとまがありません。ただこれから前を向いて
歩んでいくには、この点に対してどうアプローチしていくか、
それを考え、行動にうつすことが重要だと思っています。

次回はDari Kなりの考え・アクションについて書いてみようと
思います。このブログは、私の一方的な解釈を紹介するのではなく、
読者との意見交換や情報共有が出来たらいいなぁと思っているので
コメントやご意見などあれば是非シェアして頂けたら幸いです!
プロフィール

Dari K

Author:Dari K
Dari Kの経営者です
宜しくお願いします!

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